【キャリア支援】体育会系学生の就活とエントリーシート「必勝メソッド」初公開
体育会系の学生が就職を成功させるにはどうすればよいでしょうか。Pen&Co.株式会社の原田亜紀夫は中学、高校、大学と陸上部で練習に明け暮れ、独自の対策を完遂して新卒で電通に入社。転職した新聞社ではスポーツ記者として自己実現を果たす一方、採用面接官も担当しました。その経験から小手先ではない「必勝メソッド」を直伝します。
アスリートにも必要な「書く力」「話す力」
実際、大手・中小企業の採用状況を見てみると、「体育会系」人材の需要、人気は依然として高く、たくさんの元アスリートがあらゆる業界のフロントランナーとして活躍しています。
筆者自身、2020年まで在籍した新聞社勤務時代、2度ほど書類選考を通過した学生の1次面接官を担当し、実際に元アスリートを内定・採用につなげた経験があります。個人的にも大学の後輩に関わらず、OB訪問を拒んだことはなく、これまでのべ200人以上の学生の就職相談に乗ってきました。
アスリートはレースや試合で勝つために、逆算してトレーニング計画を立て、努力、工夫、鍛錬を重ねます。その思考、プロセス、再現力はビジネスにも通じます。
チームのために自己犠牲を払う精神や先輩・後輩とのコミュニケーションを通じた課題解決能力も、スポーツを通じて磨かれる。体育会系の学生にはそんな自負があるでしょう。そして何より、目標完遂までは何があってもへこたれない、あきらめない。心身のタフネスが備わっているはずです。
ただし、志望企業に入り、しかも、本当にやりたい職種に就くためには複数の関門があります。それをクリアするには一定の戦術、テクニック、表現力が必要です。とりわけ、重要なのは「書く力」と「話す力」です。
OB・OG訪問という「取材」をしよう
就職活動は社会人デビューの「助走期間」です。まずはスポーツという軸を頭に置きながら、少し広めに自分が身を置いてみたい業界をリサーチしてみましょう。これまでの行動範囲である「スポーツ村」から一歩外に踏み出してみることで、新たな発見があるかもしれません。必ずしも企業の門をたたくことだけが「就職」とも限りません。
自分は何がやりたいのか。どんな仕事ならやりがいを持って続けられるのか。さらにどんな環境、条件ならば、自己実現できそうか。それらを探り、考え、自問自答することから就職活動は始まります。業界を知り、自分を知り、その接点をイメージし、それらを的確に表現するためには徹底的な「取材」が不可欠です。
就職活動は求職期間を過ごす学生の特権です。「就活生」という立場を使って、誠実にアプローチすれば、たいていの「体育会系」の先輩社員たちは時間を割いてくれるでしょう。その特権、人生のうちでも特別な期間を最大限利用しない手はありません。
OB/OG訪問「100人斬り」をやってみた
マスコミ志望だった筆者は、どうせ「取材」するならば、とことんやってみよう、それをベースに内定を勝ち取ろうと考え、学生時代に「OB訪問100人斬り」という目標をまず掲げました。毎朝5キロのランを1年続ける、腹筋30回を毎日10セットやるのと同じ感覚です。
筆者の第一志望は電通でした。しかし、会いに行ったのは電通で働くOBだけではありません。テレビ局、新聞社、ラジオ局、出版社など電通と取引のあるメディアや企業の宣伝部、競合するライバル広告会社など、できるだけ電通について多角的な視点や意見に触れることが目的でした。そして結果として100人を超えるOB・OGに会いに行きました。