【ペンスポ×ハンドボール】勝てば客が入る、は本当か
ペンで、心を動かす。Pen&Sports [ペンスポ] 編集長の原田亜紀夫です。「東京に女子ハンドボールチームをつくろう」というプロジェクトを主導する方から「ペンの力を貸してほしい。ぜひ作戦会議を」と声がかかりました。
中学、高校、大学のハンドボール強豪校は首都東京に多く存在するのに、国内リーグ「リーグH」には今のところ東京に女子チームはありません。リーグHに加盟して戦っている女子チームは現時点で11ありますが、拠点はすべて西日本に偏っています。女子は高校卒業と同時に82%が競技をやめることがわかっていて、その受け皿となるチームを立ち上げようというわけです。今から3シーズン後の2027〜28シーズンに、リーグHへの加盟を目指しています。
チーム名もその体制も、チーム運営資金の調達方法も固まっていないなか、ペンスポに何ができるのかは思案中ですが、とりあえず、なんだか楽しそうなプロジェクトです。
1冊の本にヒントを求めて

「作戦会議」に備えて1冊の本を手に取りました。つい先日出版されたばかりの『スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル』。著者はJリーグ(J1)ファジアーノ岡山のオーナーで、東京大学特任教授の木村正明氏です。
木村氏はPen&Co.を共同経営する多田千香子と同じ岡山朝日高校出身ということもあって親近感があり、いま直接会って話を聞きたい人のひとり。にわか勉強でも、何もしないよりはマシと、彼の著書に「東京に女子ハンドボールチーム」のヒントを探ることにしました。木村氏によると、プロやプロを目指すスポーツチームはすでに国内で400を超えていて、まだまだ増える傾向にあるといいます。
木村氏が投資銀行大手のゴールドマンサックス出身ということもあり、Jリーグクラブの収入分析などのデータが本の後半を占めているのですが、前半の「ファンづくりと球場集客の実践方法」でいいなと思ったところに線を引きながら読み進めると、ほとんどのページにインクがにじみました。
やはり人は人に興味を持つ
「プロチームを作るのに競技の違いはほとんど関係ない。どの競技であっても共通の課題に直面する」「勝てば客が入る、は本当か?実は成績と集客に相関関係はない」「初観戦した人が1年以内に再来場する確率は20%、3回目は8%に減る」など、興味深い話が続くなかで、最も胸に響いたのが、チームを応援するようになった理由を木村氏が分析した結果、「プロスポーツ選手は個性・人柄でファンを惹きつける」「やはり人は人に興味を持つのだ」というくだりです。「サッカーを好きになるのが理想だが、必ずしもその必要はない」「話題作りには試合以外の切り口が大事」とも結論付けています。
東京に女子ハンドボールチームを新たに作るにあたって、このプロジェクトをゼロから認知してもらい、ファンを増やし、集客する。そのための情報発信に「ペンの力」の見せどころは数多くありそうです。